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地方創生とは「循環」と「構造」で生まれるものである

〜想いだけで終わらせないために、私たちが問うべきこと〜


 先日、ブックオフが展開する「ふるさとブックオフ」に触れたが、そもそも

地方創生とはなんだろうか?


 近年、あちこちで「地方創生」という言葉を耳にするようになりました。「地域を元気にする」「地方から新しい価値を発信する」その響きはたしかに希望を含んでいます。

しかし、私たちはそろそろ本質に立ち返るべき時ではないでしょうか。

 地方創生とは、夢や想いを語ることではない。地方創生とは、地域に根づく“経済と社会の循環装置”を設計・実装することである。私はそう考えています。


 

中途半端なSDGs、どこかで見たような取り組みに、問いかけたい


 「SDGsに取り組んでいます」「地域活性化のイベントを開催しました」そんな企業の広報を見かけるたび、私は自問します。

その活動は、「風景」と「関係」と「経済」を地域に残しているか?    その構造は、“語り継がれ、引き継がれる仕組み”として          デザインされているか?

 どれだけ立派な理念を語っていても、それが地域の風景を変えていないなら、地域の人との関係を築いていないなら、地域の経済に継続的な還元を生み出していないなら——それは単なるSDGsウォッシュ、グリーンウォッシュに過ぎないのではないか。


 

地方創生にふさわしいかを判断する「3つの問い」


① その活動は「地域にお金を落とす仕組み」をつくっているか?


 地方創生とは、ボランティアではなく「地域経済の再設計」です。

 その活動が、地域外から人を呼び込み、消費(宿泊・食事・体験)を生む

 導線になっているか。地元住民が新たな雇用や業務機会を得られているか。

 地元資源や人材が商品・体験の中心になっているか。

 単なる販促イベントではなく、「仕組み」をつくる覚悟が求められます。


② 地域住民が“自分ごと”として関われる余地があるか?


「外から来た企業がやっていること」では、真の創生は起こりません。

 地域の人が担い手・仲間・創り手として関わることで、初めて“根づく”のです。

 その取り組みは、住民が運営・企画・製作・販売に関われる余地があるか?

 若者・高齢者・障がい者、さまざまな層が関われる“関係性の構造”になっているか?

 地域が「消費される場」ではなく、「共に創る場」になっているか?


③ その取り組みが“組織的に継続可能”か?


 想いに支えられたプロジェクトは尊いものです。しかし、担当者が退任した途端に

 すべてが消えるようなら——それは“社会的な仕組み”とは言えません。

 経営計画やビジョンに制度的に組み込まれているか?運営チーム・資金・パートナーが

 明確に設計されているか?行政や住民・企業・NPOが役割分担された共創体制が存在

 しているか?継続性なき創生は、やがて地域に失望だけを残します。


 

企業が問われていること


 地方創生とは、CSRや広報戦略ではありません。本気で社会課題に向き合うなら、中途半端な「イベント消費」や「話題づくり」ではなく、持続する仕組み、語り継がれる構造、

地域と共に歩む関係性を育てなければなりません。

金融機関やメディアに持ち上げられることを目指すのではなく、「その地域に、ちゃんと

必要とされているか?」 「いなくなった後も、その仕組みが続くか?」を、自らに問い

続けなければならないのです。


地方創生とは「地域に夢を語りに行くこと」ではありません。地方創生とは、「地域に未来を残していくこと」です。風景を変え、関係を育み、経済を動かす。


 それが“地域に根づく循環と構造”であり、真に創生と呼ぶにふさわしい営みなのだと、

私は信じています。



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