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心理学的視点で考える ペール・ギュントを支えた愛 ① 

第1回  ソルヴェイグの物語


人生の旅路で人は、何を見失い、そして何に帰ってくるのでしょうか。

イプセンの戯曲『ペール・ギュント』には、それを静かに問いかける存在がいます。


それが、ソルヴェイグという名の女性です。

ソルヴェイグは、主人公ペール・ギュントが若い頃に出会った女性です。

ペールは空想癖があり、責任を逃れ、現実から目を背け続けた男。

そんな彼に対してソルヴェイグは、ただまっすぐに愛を注ぎます。


やがてペールは、その愛の重さからも逃げるように、世界中をさまよい続けます。

彼は何者かになろうとし、何者でもなれず、挫折と後悔の果てに老いを迎えるのです。


 

帰還と再会


 数十年の放浪の末、ペールは再び故郷へ。すべてを失い、何者でもなくなった男が、

ただ一つ覚えていたのは、かつて自分を愛してくれた女性の存在でした。


そして、ソルヴェイグの元にたどり着いたとき──

彼女は、何ひとつ責めることなく、静かに彼を迎え入れます。

その腕の中で、ペールは問いかけます。


「私は、誰だったのだろう?」


ソルヴェイグは、こう答えるのです。


「あなたは、私の愛した人だった」


ソルヴェイグの歌 〜変わらぬ愛の証〜


 グリーグが作曲した《ソルヴェイグの歌》には、彼女の深く静かな愛が刻まれています。

ノルウェー語の原詩に基づく英訳の一部を日本語にすると、次のようになります。


「冬が来ても春が来ても私はあなたを待っていました。鳥たちが巣を離れたとしても

私の愛は変わりません」


この詩にあるのは、赦し・包容・無条件の愛です。

ペールがどれほど遠くに行っても、ソルヴェイグの心は、ずっと同じ場所にありました。


 

ん~めでたし、めでたし??


WIKIより(ペールギュント)
WIKIより(ペールギュント)

この有名な戯曲は、単純な愛情を語ったものでしょうか?

この物語の本質を、心理学的な視点と交流分析的な考察で考えてみたいと思います。

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